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2015-11-12
ティータイム旅手帖 制作の経緯(3)

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ぼくは広島で活動しています。
だから、地方からの発信を前提としています。

独自のリトルプレスの制作を考え始めた2012年頃。
地方発のリトルプレスも日本各地にあり、
それらもたくさん購入して拝見しました。
どれもすばらしいと思いました。
どうすれば追いつけるかをずっと考える時期がありました。

「人」に焦点を当てた本をつくりたい。

かつて、「お店紹介」的な情報誌を発行する会社に十数年いたことがあります。
それに広告要素が加われば、必然的に「スピードと数」が勝負になります。

長年その仕事をしているうちに、ますます「スピードと数」が重視され
文章もプロ取材ではなく営業自身が書くようになり
最終的にはクライアントの方がパソコンから
ネット入力する時代になっていきました。
デザインも、写真も、同じく、数をこなす方向になりました。
今では、練りこんで「編集」するのではなく、
ネットを介して「素材」をシェアする時代です。

「スピードと数」がすべてという世界。
その過程をすべて経験した結果、
ぼくの中には、その逆をやりたいという
想いが芽生えていました。

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「人」に焦点を当てたい。
独自の思いで店舗を経営している方や、商品を生み出している方、
アーティストやデザイナーやフォトグラファー。
そういう人が広島にもたくさんおられて
それらの方々を表現する場をつくりたい。
なにかに向かって頑張っている「人」を誌面に刻みたい。
そう思っていたのです。

それは「スピードと数」ではなく
時間をかけて理解しあったり、作品を制作していただいたり
しっかりと取材することが前提となる
考え方です。
時代遅れかもしれませんが・・・。

そんな本を考えていたものの、
広島で活動するじぶんにとっては、取り上げる対象は
どうしても地元の方になってしまう。
つまり、「人」に迫ったつもりが「ローカル」になる。
それって、どこまで他のエリアの方に響くのだろう。
そのあたりで迷っていました。

地元だけに売る本となると、どうしても「スピードと数」を
期待されてしまう。しかも立派なタウン誌もたくさんある。
そちらには行きたくない。
だとすれば、
地元以外でも手に取っていただける「本」にしなければならない。

結果として、地元の素材で本をつくるのは難しいのではないか・・・。
もう、ジレンマですな(笑)

思い切って、地域を関係なく取材した本にすれば
上記はブレイク・スルーできるかもしれませんが
他の地域の方も取材したいものの、
肝心の本の形は、ぼくの頭にぼんやりと存在しているだけ。
うまくいくのか自信のない状態では費用も出しにくい。
そもそも、そんなに予算があるわけでもない(笑)
だからまずは、地元の方にお願いするのが妥当だろう。
そんな堂々巡りで、なかなか進めずにいました。

地方の本が響くのか・・・

転機がありました。
2013年に「ヒロシマ・モナムール」という
リトルプレスを発行しました。

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「ヒロシマ」「平和」をテーマにしながら、
普遍的な「日常生活を愛すること」を描いた本・・・
のつもりでしたが、そもそも練り込みも甘く、
デザインやレイアウトをデザイナーに依頼せず
大昔に捨て去ったボロボロの「デザイナー経験」の鎧を引っ張り出し
動かない体に鞭打って作ったわけで、
まあ、完成度にはかなり悔いがあります。

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そもそもの発端とした純粋な気持ちは変わっていませんが
それも正直なところ、うまく表現できていない気がします。

この「ヒロシマ・モナムール」はリトルプレス制作の実験と
イベントへの対応のため、約3週間という短時間で制作し、
それでまあ「ひとまずOK」のつもりでした。
ところが、それによって地元の新聞やラジオで紹介いただいて
「あれ、響くのか?」と思ったのが勘違いのはじまり。

期待を込めて、
全国各地へ送付してみましたが、
結果として
他のエリアではほとんど無反応だったんですね。
テーマや完成度や素人デザインも原因だとは思いますが・・・。

それでぼくは考え込みました。
以前から考えていた「人」を掘り下げるリトルプレスも
同じことになるのではないか・・と。

そして「旅」が残った。

結果として、「ヒロシマ・モナムール」の出版は
迷いがさらに深くなった経験でしたが
それでも、いろいろと経験値を得ることはできました。
「ヒロシマ・モナムールとは違う方向に進めばいい」という
目標は見えるわけですから。

半年ほど、悩んでいるうちに
地方からの発信であっても
別のテーマを置けば、
ブレイク・スルーできるんじゃないか?
そう気づきました。
いくつものテーマを模索する中で、
「まずはこれで行こう」と思えた、
その題材が「旅」だったのです。

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もちろん、ぼく自身が20数回海外旅行を経験するほど
旅が好きなこともあるし、
これまでにも述べたように、旅が苦手な人にも「伝えたい」という
想いもありました。
それらがある日、一つにつながったというわけです。

 ティータム旅手帖


写真は、校正中の状況です。
いろいろな方の「旅」への想いが詰まった本となりました。

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